あるママのノートから~保育士2年目の忘れられない思い出~

妊娠してから、SNSでママたちの意見を聞くことが増えた。
わからないことだらけで、自分は寝られなかったり食べる時間もなかったり、それでも子どもへの愛は溢れていて、そんな風に毎日頑張っているママたち(もちろんパパたちも)は本当にすごい。

「保育士さんにお礼を言いたい」って言って下さってる方もいた。
私はその保育士さんじゃないけど(笑)とても嬉しくなって、そしたら何年も前担任していたあるママのノートを思い出した。

今回はアラサー保育士が忘れられない、Aちゃんとそのママさんとの思い出話

『引っ込み思案』なAちゃんとの出会い

Aちゃんと会ったのは彼女が2歳児の時。

Aちゃんのママは「この子は引っ込み思案で、いつも私にべったりでなかなか人に慣れなくて・・」と気にしていた。
月齢が高くて、周りのことをよく見ている賢い子という印象。
だからこそというか、保育園にも保育士にもすごく警戒していて、友だちにもなかなか近づいていこうとはしなかった。

今なら「うんうん、学年に数人はそういう子もいるよね」とある程度慣れた対応をするのだけれど、当時私はまだ2年目で、正直なところどう接したら良いのかわからなかった。
ただ、彼女は幼い頃の私に似ていた。

周りのことが嫌なわけじゃない。だけどどうしたら良いのかわからない。
小さいなりにすごく緊張して、ママに甘えたいけれどここにはいなくて、新しい環境に立ち向かうしかなくて、一生懸命頑張ろうとしている。

そんな彼女がとても愛おしかった。

2歳児の世界では『子どもと大人』の関係より『子ども同士』の方が強くなってきていて、Aちゃんは少しずつお友だちに興味を持つようになった。
一旦遊び始めたらAちゃんはとても活発で、泥んこあそびをしたり、ままごとでみんなをリードして遊んだりとだんだん笑顔が増えていった。
それでも大人に対してはまた少し違うようで、保育士には少し距離をおいている部分があった。

担任の中でも順位付けがあるというか。
彼女なりに大人の顔色を窺っているように感じた。

彼女と仲良くなりたかった。
近づきすぎると警戒するのが伝わってきたので、ギリギリの距離を保つように意識した。
いつかAちゃんが私を必要としてくれた時・甘えたくなった時にはすぐに対応できるように、距離を保ちながらもできるだけ近くにいられるようにした。
今思うと、あれは保育士としてじゃなく「彼女と仲良くなりたい」ただそれだけだったのかもしれないけど。

Aちゃんと私の距離は少しずつ近くなっていった。
膝の上に乗ってきたり、甘えてきたり。
そのうちに「HINA先生こっちおいで!早く!!」なんて偉そうに言うようになったりもして。

じゃれあって一緒に遊んで、Aちゃんと私は仲良しになった

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Aちゃんママからのノート

保育園では毎日保護者さんとノートのやり取りをしている。
「家でこんな遊びしてました」とか。
「昨日のご飯は良く食べました」とか。

ある日Aちゃんのママからこんなノートをもらった。

昨日のお迎えの時、母を見つけても駆け寄ってこずHINA先生とじゃれているAを見てびっくりしました。

家に帰ってからも自分から父に「今日な、HINA先生と遊んだんやで」と話し、父に「HINA先生?」と聞き返されると「えぇ!HINA先生のこと知らんの?!」とお怒りモードになるほどでした。

こうやって色々な人に心を開いていくAを見て、とても嬉しく思います。
今まで、この子はこのままずっと引っ込み思案なままなのではと心配していましたが・・・
Aの心を開ける人が増えていくことを願います。

涙が出た。
Aちゃんが家でも私の話をしてくれるくらい、心を開いてくれたこと。
Aちゃんのママがこんな風に思って下さったことと、それをわざわざ伝えて下さったこと。
新米保育士のやり方が正しかったかどうかはわからないけれど、ただ本当に本当に嬉しくて。

「保育士になって良かった」「Aちゃんに出会えて良かった」って心から思ったあの日。

Aちゃん、Aちゃんママ、ありがとう

あれから何年も経って、引っ越しもして、色々な園を回って。
失敗して凹むこともたくさんあるけれど、そんな時Aちゃんママさんの言葉を思い出す。

たくさんの子どもたち・保護者さんたちと出会うけれど、一人ひとりと丁寧に接することを忘れちゃいけないよなって。

どこでも元気いっぱいに遊べる『子どもらしい』子は、どんな環境でもいろんな人に可愛がってもらいやすかったりする。
そういう子はもちろんだけど、そうじゃなくても、それぞれに素敵な個性がある。
だから接し方も一人ひとりに合わせて考えて対応していきたい。

大学で保育の勉強をしている時に言われた言葉がある。

「保育士のいいところは、どんな日でも一日一回は必ず笑えるところ。これは他の仕事にはないことだよ」
「もし子どもに『先生何の仕事してんの?』とか『遊んでばっかり』と言われたら保育士として大成功。全力で遊んでると思われる保育士になりなさい」

Aちゃんにとって私は、いい『遊び相手』になれてたかな?
全力でじゃれあって、泥んこ投げ合ってたあの時間は、今も私の宝物だよ。

「Aちゃん、Aちゃんママ。素敵な思い出を本当にありがとう」

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