夫婦は他人で、味方で、チームメイト。
ほんの数年前まで離婚寸前だった私たち夫婦ですが、今は意識を共有しながら育児というミッションに向かっています。
この関係に至るまでたくさん悩み、いろいろな人に話を聞き、手当たり次第に本を読みあさりました。
この記事ではわたしが実際に参考にしている「夫婦の向き合い方」についての本を、オススメ度と共にご紹介します。
すべての夫婦には問題がありすべての夫婦には解決策がある
現時点で一番のオススメは犬山紙子さんの本。
家事育児、夫婦ゲンカ、不妊治療、セックスレス、不倫などいろいろな問題を乗り越えた8組の夫婦の実例を参考に、こじれた夫婦関係を修復する100のヒントを収録しています。
100のヒントはたとえばこんなかんじ。
- 「察して」は禁止。「パートナーには言わないとわからない」を常に念頭に置く
- 話し合いはコストがかかるため避けがちだが、コストを最小限にする方法を考えておく。そのためにはノウハウの共有や話し合いの仕組みを変えること
- 暴言を吐かれたときは「なんでそんなことを言ったの?」と冷静に相手に確認。相手に対して「キレた成功体験」を作らせない
- 仕事が忙しく相手に負担をかけるときは「この先必ずこの状況を改善する」ということを伝え、対処に向けて行動する
この本の考え方は、私と夫が揉めに揉めてたどり着いた考え方とほぼ共通しています。大前提が「夫婦とはそもそも他人」なんです。
夫婦は他人で、他人同士が円満に暮らすためには知恵と歩み寄りが必要。対策を取らなければ関係性を保ち続けるのは無理。
お互いが関係を良くしようと意識して口に出し、話し合って、協力して、問題を乗り越える。その関係性を作るために工夫し、努力する。
そのためのヒントがたくさんまとめられています。
出てくるのは大問題にぶち当たったご夫婦ばかり。人ごととして聞いたら「もう無理でしょ」とつたえなってしまいそうなところからどうやってリカバリしたのか、とても興味深いですし勉強になります。
「一緒に考えて努力してほしい、それができないなら今すぐ別れる」
私自身、数年前にそう迫ってどうにか作ってきた夫との関係。とてもとても大変だったけれど、同じ方を向いて頑張れるパートナーの存在は本当に心強いものだと感じています。
当時の私たちの話はこちらに掲載されています:【夫婦対談】新婚で離婚危機!?修復のきっかけになった妻の言葉「夫婦は他人」の意味とは?
ちなみに、この本では「離婚もポジティブな行動」とされています。
夫婦は片方が努力するだけでは絶対にうまくいきません。離れるべき人はいますし、もっと頑張らなきゃと考えすぎて精神が消耗してしまうこともあります。離れるべき人を見極めるチェックリストが書かれているのも良いと思いました。
ふたりは同時に親になる
続いて「産後夫婦の協業」をテーマにワークショップをしている狩野さやかさんの本。
産後ママたちは何がどんなふうにどんな風にツラいのか、現代のパパたちはどんな状況にあるのか、どうしたら夫婦で一緒に育児に向き合っていけるのか。
ワークショップで出たリアルな声と、統計や社会調査などのデータを元にまとめられています。
この本は「まず第一に、パパたちにママの産後のリアルをどうしたら伝えられるだろう、どうしたら危機感をもって受け止めてもらえるだろう、ということを考え抜いて作りました」ということで、前半はママのしんどさをいろいろな角度からまとめています。
よく、「好きなことをする時間がないからストレスなんでしょ?」と言うパパがいますが、それはまったくの見当違い。ママのストレスはもっとレベルの低いところにあります。ごく当たり前の日常生活がひとつも自分のペースでできないことこそが問題なのです。もはやパパが「好きなタイミングでご飯を食べているだけでうらやましい」という感覚です。
「朝ごはん食べながら朝刊読めていいよね」「自分の好きなときにトイレに行けていいよね」「仕事に行けていいよね」「コーヒー飲んでリラックスとか許しがたい!」「この30分が超貴重で贅沢なのに、なんでぼーっとしてるの!!」
「ママ」として読むと本当に「わかるわかる」です。ただこれを読む必要がある状態の「パパ」が読んでくれるかというと、正直ちょっと、いやかなりキツいかもしれません。
これを読んで危機感を持ってくれるパパはここから大きく変わってくれると思うので、その段階の方にはぜひ読んでほしいです。
後半には、
- 産前産後の変化を紙に書き込んで話し合う方法
- 協力し始めたときにぶつかりがちな問題と解決法
など具体的な向き合い方が書かれています。こちらの記事にまとめられていたので、よかったら参考にしてみてください↓
>>「ふたりは同時に親になる」著者狩野さやかさんに聞く、夫婦が笑顔で一緒に育児をするコツ 前編
データも多くしっかりした内容なのですが、個人的にはどうも読み進めづらいというか・・・弱っているときに読むとちょっとキツく感じるかも、という印象があります。
どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。
次にご紹介するのは、前述「すべての夫婦には問題があり、すべての問題には解決策がある 」に出てくる水野さるころさんが書かれたマンガエッセイ。
バツイチ同士で結婚したおふたりが「もう前回の結婚のようにツラい思いはしたくない」「どちらが我慢したり無理したりしない結婚生活をするにはどうしたらいいか」と試行錯誤してきた過程がまとめられています。
たとえば「キッチンを使ったなら物を元に戻してほしい」
この問題ひとつとっても、相手に伝えずもやもやしているとイライラがたまります。なぜ戻せないのかどうしたらお互いにやりやすいのか、話し合って考える。
おふたりの場合「相手にもわかりやすいシステムを考えれば良いのでは?」ということで道具入れを変えたり、使う前に写真を撮って記録し、写真どおりに戻すようにしたり・・・といった工夫をされていました。
育児についても、どうやってシェアすればお互いに不公平感がないのか、よりスムーズに生活を回せるのか、試行錯誤の過程がリアルです。
そしてこちらのご夫婦の場合「キレる夫、機嫌を取る妻」という夫婦の構図が、すこし前までの我が家とまったく同じ!
キレて、もう別れると言われて謝って落ち込んで、でもまたすぐにキレる。もうまさに、本当に、これでした。
13話「夫が自分を変えた日」には、夫がどういうときにキレてしまうのか、具体的にどうしたらいいのか、その話し合いが描かれています。とても参考になったし、こんなふうに夫が受け止めて変われる可能性もあるのかと希望が見えました。
こちらから読めます↓
>>夫が自分を変えた日│どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。
実際、我が家の夫もずいぶん変わりました。
一緒に出かけるのが怖くなくなった。当たり前のことですが、当時の私にはずっと手に入らないものかもしれないと思っていました。よかった、本当によかった。
子どもが生まれても夫を憎まないで済む方法
夫婦の本を紹介するとなると「子どもが生まれても夫を憎まないで済む方法」は絶対に外せません。
子どもが生まれてから夫婦がすれ違うのって海外でも同じなのね!?という驚き。
「夫を憎まないで済む方法」というタイトルだけ見ると夫側からマイナス印象を受けてしまいそうですが、決して嫌な描かれ方はしていません。
「夫を憎みたくない」からそのためにできることは何でもする、私たちの関係を分析してアドバイスをください!というかんじで、いろいろな業界の専門家をめぐるお話。ちょっと長いですが、めっちゃおもしろいです。
冒頭で紹介した「すべての夫婦には問題があり、すべての問題には解決策がある」でも触れられていました。
詳細はこちらにまとめているのでぜひ↓
逃げるは恥だが役に立つ
続いては、ガッキーと星野源でおなじみの「逃げ恥」
お給料の発生する契約結婚から始まるふたりを描いたお話です。原作はマンガ、私はKindleで読破しました。
ラブストーリーとしてもおもしろいのですが、それ以上にパートナーとの向き合い方が勉強になります。ふたりがぶつかる問題もリアル。
自分が相手に「男の役割」を期待してるんだから、向こうだって「女の役割」を期待するよ。それなのに自分ばっかり「働いた分お金くれないと嫌」とか言いづらい
分担って実は結構やっかいじゃないですかね。やって当たり前ってなってできてないとイラッとするっていうか・・・しかもそのできてない基準は自分の中の採点で、相手にはわからないっていう
どんな言動をされても、相手を信じているのならブレないはずなのだ。相手に不信感を持つから疑心暗鬼になる。ということは、誰かを愛するということは究極的には相手の気持ちは関係ないってこと!?
原作マンガでは妊娠出産まで描かれていて、それもまたとってもリアルで良いです。
ストーリーはめちゃめちゃおもしろいけど、マンガとしてはすごく「読みづらい」です。ここがもう逃げ恥のめちゃめちゃ惜しいところ!なんでしょうね、キャラが動かないというか、うーんホントもったいない。
こんなにおもしろいのに、もっと広まってほしいのに。そういう意味でドラマは本当に素晴らしかったと思います。良い部分を抽出してまとめきってました。
キレる私をやめたい〜夫をグーで殴る妻をやめるまで〜
最後はすこし系統がずれますが、田房永子さんの「キレる私をやめたい」
普段は温厚なのに夫や彼氏など近しい関係の人にだけキレてしまう、そんな自分が嫌で苦しんでいた著者さんが、穏やかな生活を手に入れるまでのマンガエッセイです。
前半だけ読むとちょっと引いてしまう方もいるかも。パートナーの発言に突然キレ、つかみかかったり殴ったり、物を投げたり、激しい表現が出てきます。
でも後半、ゲシュタルト療法というセラピーに出会って著者さんは変わっていきます。怒りに自分のすべてを任せず、すこしずつコントロールする感覚を覚えていくんです。
自分がカッとなって怒ってしまいやすい方や、そこまででなくても、自分をコントロールできなくなる瞬間があって苦しい方にはきっと役に立つと思う。