Twitterではちょくちょく書いていたのですが、私は「エホバの証人」と呼ばれている宗教の「元・2世信者」です。
エホバの証人は誕生日を祝っちゃいけない。
私は二世だから、子どもの頃からずっと祝ってもらうことはなかった。人の誕生日パーティーに行くのももちろん禁止。嫌になって宗教から抜けて、はじめてケーキのろうそくを吹き消したのは16才のとき。嬉しかったなぁ。
— ヒナ@2yと16w🤰 (@hinamama_cm) 2018年8月7日
物心ついた頃~中学2年の時に自分で抜け出すまで、それはもうマジメな優等生信者として活動していました。
今回は、私とよく似た環境で育った2世信者ママさんの今野さん(@bijin_ya)とお会いして、初対面とは思えないくらい語りまくった話。
今野さんのお店>>母子手帳と育児用品の通販ショップ「美人家」
「エホバの証人」ってなんなのさ
そもそも「エホバの証人」ってなんなの?というのをちょっとだけ。
たぶん皆さんに一番なじみがあるのは、急にチャイムを鳴らして「こんにちは、聖書のお話をしませんか」とやってくる人たちです。最近はマンガやテレビで取り上げられることも多くなってきました。
輸血禁止が有名なのかな。北野武さん主演で映画になったこともあるそうです。
誕生日・クリスマス・お正月・七夕など、一般的な行事はすべて禁止。
小学校の頃、君が代や校歌を歌わずにじっとしていた子がいた・・という方は、それもおそらく信者です。
主な教義としては、
- 近いうちに神様が信者以外をすべて滅ぼす
- それまでに一人でも多くの人を入信させ、命を救わなくてはいけない
- 滅びのあと世界は“楽園”になり、信者には永遠の命が約束される(それまでに亡くなった信者も復活する)
こんなかんじです。改めて書き出してみるとぶっ飛んでますね。
争い事や暴力は禁止されているので、基本的にはニコニコ平和的で「良い人」たちです。自分で入信して楽しむぶんにはいいと思う。ひとりで信じているだけなら基本的に無害。
なのですが・・・
二世信者の幼少期
信者の中にも、ド真面目にすべての決まりを守っている人もいれば、そこそこでテキトーにやっている人もいます。
私と今野さんの親は、ガッツリマジメにやっていたタイプ。そのため、ほぼ同じルールで同じ育てられ方をしていました。
※元二世にもいろんな方がいらっしゃいます。あくまで一例としてお読みいただければと思います※
ゲームもマンガも禁止、とにかく暇な子ども時代
エホバの証人の子どもには楽しみが少ないです。
基本的に「この世のもの(宗教外のもの)」と触れ合うのは良くないとされているので、テレビもゲームもマンガもアニメもほぼ禁止。
特に、戦いや恋愛要素があるもの、お行儀が悪いものは見せてもらえませんでした。
行事に参加しないことが多いから何かと浮いちゃうし、流行りの話は通じないし、そもそも「この世の子たち」と遊ぶのは良くないって言われるし。
信者の子ども同士で会うことはあっても、勉強会か布教活動中なので遊ぶ時間はほとんどなし。勉強会の前に手あそびをしたり文房具を見せ合ったりするのが、数少ない楽しみでした。
「よく宗教勧誘に来る人の家に生まれた子の話」著者のいしいさやさんも、同じ感覚だったようです。
とある新興宗教の二世信者として育った作者の自伝エッセイ
『よく宗教勧誘に来る人の家に生まれた子の話』(いしいさや)、今月は性と恋のお話。#講談社 #ヤングマガジンサード#今月のヤンマガサード pic.twitter.com/OKeU5A2OQz— ヤングマガジンのスズキ (@ym_suzuki) 2017年9月9日
とにかく「子どもらしい生活」ができませんでした。
本来なら楽しいはずのことが禁止、情報が制限されて、「禁止の理由を知るため」に、大人向けの本でリアルな知識を教え込まれる。
勉強会で読む本には、心臓をくり抜かれて血だらけのイラストや「婚前交渉の禁止」について書かれていました。
子どもから「ムチ打ち」を「お願いする」異常さ
エホバ二世の子にとって特にツライ思い出として残りがちなのが「ムチ」。
親の言うことを聞かなかった時・悪いことをした時は、自分から体罰をお願いするのが決まりでした。
私たちの親はあれが「子どものため」だと信じていたようです。
宗教内ではムチは当たり前のことでしたし、子どもをきちんと懲らしめることができるのが素晴らしい親だと言われていました。
集まりは週3回、ほぼ2時間座りっぱなし。小さい子どもが静かにしていられるわけがないんです。それでもそうしなければいけない、良い子でいなければいけない、それが私たちの幼少期でした。
つらかったなぁ、ほんと。
ムチで叩かれる前には、何がどうしてダメだったのかを自分で反省させてから、「お願いします」と、自分が納得していることを示します。叩かれた後には「ありがとうございました」と言わなければいけない。でもその行為の後、母は私を抱きしめて、こう言いました。「あなたが嫌いだからじゃないのよ」――。
元二世信者が母親になって思うこと
今野さんは3姉妹のお母さん。私ももうすぐ二児の母親です。ふたりとも、元二世信者として親になるには大きな葛藤がありました。
「自分は親になってはいけない」という強い思い
同じ悩みを抱える方は多いんじゃないかと思います。
以前Twitterで「妊娠中だけどこれから先が不安」と不安を打ち明けてくれた元二世さんもいらっしゃいました。
自分の親は信者だから頼れないし、我が子のためのイベントやお祝い事の知識もないし、そもそも自分なんかが親になっていいのだろうか・・・考え始めるとキリがありません。
宗教から離れてからの期間・親との関係など、それぞれの状況によって感じ方が違うとは思います。
でも少なくとも私と今野さんは「子どもとの生活が楽しい」それが何より、嬉しいです。
我が子には「子どもの時間」を楽しんでほしい
私自身は全然“できた親”ではないし、息子にイライラしてしまう時もあります。
でもやっぱりどこかで「ワガママに安心する」
自分が子どもだった頃の苦しさを、我が子には味わわせたくない。そんな思いがあるのを改めて感じました。
自分で言うのもなんですが、ふたりともここまでよく頑張った。本当にそう思います。
反骨精神に火を付けて
記事中にも書きましたが、これはあくまで「私たちの場合」です。
元二世さんにもいろんな方がいらっしゃいます。過去を隠していたり、トラウマを抱えて苦しい思いをしていたり。
本当はみんなが心穏やかに過ごせるようになってほしいけれど、それはなかなか難しい。
ただ私たちは「反骨精神」で生きてやろう。ふたりでそんな話をしました。元二世として感じたことも、しんどかったことも、ガンガン燃料にして楽しく生きる。
同和地区に住んでいたことも、エホバの二世信者だったことも、イジメられてたことも、バツがあることも、
「プラスになる!」なんてとても言えないけど、
「せめて無駄なく消化し切って最大限に幸せになってやるわ!!」
くらいにはなったなぁと思うw
— ヒナ@2yと16w🤰 (@hinamama_cm) 2018年3月14日
そもそも今野さんと出会ったのは、私がおむつポーチの記事を書いたのがキッカケでした。
ご自身の経験を生かして、育児便利グッズを作っている今野さん。自分の育児と夫婦のことをブログに書いている私。全然知らないところで生きてきたのにほぼ同じ悩みを抱えてきて、今こうやって出会ったなんて不思議です。
今野さんのおむつポーチはほんと便利なので、ご存じない方はぜひこちらを↓
なんだかんだ、生きるっておもしろい。そう思える今の自分が、私は結構好きだったりします。この記事が、どこかの誰かに少しでも優しく届くといいな。
>>「エホバの証人」元信者女性が自分の体験を漫画にした理由│いしいさや
オススメ本・映画など
本文中に紹介した以外にも、エホバの証人を題材にした(と言われている)本や映画はいろいろあります。興味がある方はぜひ。
ヒナさん、はじめまして。
私の母もエホバの証人です。
今は結婚して離れていますが、子育てが苦しく感じる時があります。自分がしてもらえなかった事ばかりを子供達にしてきて、自分とは同じ思いをしてほしくないと思う一方、自分もしてほしかった、やりたかったという感情もあり、子供がわがままを言うのがなかなか受け入れられないです。
子供達には自由に生きてほしいと思うのですが、してもらっていない事をするのはとても難しく悩む事が多々あります。
子育てを12年して、最近ようやく子供達の思っている事を少し聞けるようになってきました。
この思いを誰にも理解してもらえない事が辛く、今の生活は幸せなのですが、まだ過去を引きずっています。いつか誰の目も気にせず、自分の人生が楽しみたいと強く願っていて、実現するよう頑張っているところです。
記事を読んで元気をもらいました。ありがとうございます。
あいさん、はじめまして。
子育て歴12年、すごいです!
苦しい思いを抱えつつも、お子さんたちの幸せを願って向き合ってこられたあいさんは、きっとすてきな人です。
外部の人にはわかってもらいようがないことも多く、かといって自分一人で抱えるにはあまりに大きすぎるというか…難しい部分がありますよね。
自分がしてもらえなかったことばかり。本当に、そればかりです。
子どもたちと一緒に行事をしたり、誕生日を祝ったりしながら、ふととなりに幼い自分がいるような感覚になることがあります。
自分の言葉で「宗教上の理由でやれません」と言えることが素晴らしいと思っていた。
でも本当は、きっといろんなことやりたかった。自分自身のその気持ちにすら気づいてあげられませんでした。
なかなか難しいけれど、過去の自分も一緒に育て直してあげられたらいいななんて思っています。
最近は私も随分落ち着いてきましたが、少し前までは本当に自分の肩をギューッと抱っこして、子どもの頃の自分をハグしている気持ちで癒そうとしてみたりもしてたなぁと思い出しました。
誰の目も気にせず自分の人生を楽しむ。とっても素敵な願いですし、このコメントを送ってくださったあいさんなら絶対に叶えられると思います。
私の方こそ元気をいただきました。ありがとうございました!
本当に残酷で苦しい子供時代をエホバの証人の子供達は送っています。いえ、大人になってからも苦しんでいます。
子供をムチで撃つなんて子供を「奴隷」扱いです。親の思い通りにさせるために恐怖を植え付け、子供の意思をふみつぶし、奴隷のように一生を支配する。最悪の最低の極悪の毒、いえ激毒の猛毒親です。
子供時代をもう取り戻せない、どうしてくれるの?
全世界に叫びたいです。
コメントいただきありがとうございます。
今はムチはやっていないと聞きますが、本当に辛かったなと思います。
コメ主さまのこれからが、少しでも幸多き日々でありますよう心より願っております。
ヒナさんこんにちは。はじめまして。突然のメッセージ失礼します。
私も二世でした。母と真ん中の妹は未だに証人としてバリバリ(?)活動しています。
どうしても奉仕が嫌で嫌で、中学生のある日、道の向こうに立って待っている母に背を向けて歩いて家に帰りました。それから、妹の結婚式まで(式は集会所でした)家族以外のエホバの証人との交わりを断ちました。
今、世間で色んな宗教が取りだたされていますね。
ホース(うちの会衆では手からビニールホースになっていました)で叩かれたり、週3回の集会、学校での禁止事項…あまりいい思い出はないけど、でもやっぱり、報道やSNSでの取り上げられ方をみると心苦しくなります。
未だに、偶像崇拝は出来ないし自分が死ぬ事が考えられません。コロナが流行り、もうすぐハルマゲドンだろうか。と思ったり(苦笑)
なので、二世さんが苦しい毎日を送っている…と、聞き私は全然苦しまず生活していてさらにエホバの証人を憎めずにいる。そこも申し訳ないな、と。
主人には何でも話せる関係ですが、やっぱりエホバ=カルトという頭があるので、深くは理解して貰えてないかな、と思います。
そんな時にこの記事を読み思わず自分語りをしてしまいました……
長々と失礼しました。
まぁちゃんさん、はじめまして!
2世の私たちはずっとそのなかで生活してきていますし、ご家族が今も活動していらっしゃるとなると「憎めない」気持ちもきっとありますよね。
きっとまぁちゃんさんはやさしい方なんだろうなと思いました。
正論のようですが、まぁちゃんさんが今楽しく生活をすることが何より大切で、2世仲間の私としてもそれが1番うれしいです。
外から見たら特殊だったけれど、私たちからしたら「当たり前」だったあの生活、共有できたことで少しでもまぁちゃんさんのお力になれていたら何よりです。
コメントいただきありがとうございました^^